結婚や昇進、子どもの入学式や卒業式の際に、会社や取引先から祝電をいただくことがあります。お祝いの電報をいただいた際、お礼はメールで伝えても良いのでしょうか?贈り物と違い、祝電のお礼の仕方は意外と知られていません。正しいマナーにのっとって、感謝の気持ちを伝えましょう。
祝電をいただいたら必ずお礼を
結婚や昇進をした際に、会社や取引先からお祝いの電報をいただいたら、必ずお礼を伝えるのがビジネスマナーの基本です。お礼はできるだけ早く伝えることが大切。すぐに会える機会があるなら口頭で直接お礼を伝え、難しい場合には電話をしましょう。当日または翌日には、お礼を伝えることが望ましいです。では電話と同じく、早く手軽に連絡ができるメールはどうなのでしょうか?
メールでお礼を伝えるのは相手次第
同僚や友人といった親しい人であれば、メールでお礼を伝えても問題ありません。ただし会社の上司や取引先の関係者、あるいは目上の方に対しては、メールは適切な手段とはいえません。最近はメールでも気にしない人も増えてきましたが、「礼儀がなっていない」と感じる人も多く、マナー違反と受け取られてしまう可能性があるのです。
手紙やはがきは1週間以内に
会社の上司や取引先の関係者に対する、最も失礼のないお礼の伝え方は、手紙やはがきです。電話や直接会ってお礼を伝えた人であっても、文章で改めて感謝を伝えられると嬉しいものです。会社や取引先から祝電をいただいたら、メールではなく、手紙やはがきでお礼を伝えましょう。お礼状は、タイミングも大切です。できれば1週間以内に送りましょう。
祝電と贈り物を一緒にいただいた場合は?
祝電と一緒に贈り物をいただいた場合でも、きちんとお礼を伝えれば、お返しは原則必要ないと言われています。しかし、高額なプレゼントをいただいた場合や、今後のお付き合いを考えてお返しの品を送る場合には、のし紙などのマナーにも配慮する必要があります。結婚や昇進、子どもの入学式・卒業式では、それぞれ表書きや水引が異なります。以下を参考に場面に応じて使い分けましょう。
表書き | 水引 | |
---|---|---|
結婚の場合 | 内祝 | 紅白または金銀の結び切り※1 |
昇進の場合 | 御礼 | 紅白の蝶結び※2 |
入学式の場合 | 入学内祝 または 内祝 | 紅白の蝶結び |
卒業式の場合 | 卒業内祝 または 内祝 | 紅白の蝶結び |
結婚の場合:紅白または金銀の結び切り
昇進、入学式、卒業式の場合
※1 結び切り いったん結ぶとほどけないことから、二度あってはいけないことに用いられます
※2 蝶結び 何度も結ぶことができることから、繰り返してもよい祝い事に用いられます
祝電をいただいた際のお礼の手紙やはがきの例文
手紙やはがきで祝電のお礼を伝える際の例文を紹介します。参考にしてみてください。
結婚式でいただいた祝電のお礼:例文
例文1)
二人で力を合わせて幸せな家庭を築いていきます。
これからもよろしくお願いいたします。
例文2)
二人で力を合わせて幸せな家庭を築いていきます。
ぜひ、遊びにいらしてください。
例文3)
誠にありがとうございました。
また、お祝いも過分にいただきまして、
厚くお礼申しあげます。
いただいたお言葉を大切にして
幸せな家庭を築いていく所存です。
お近くにお越しの節は、ぜひお立ち寄りください。
未熟な二人ではございますが
今後ともお力添えの程お願い申しあげます。
昇進でいただいた祝電のお礼:例文
例文1)
今後ともお力添えの程お願い申しあげます。
入学祝いでいただいた祝電のお礼:例文
例文1)
○○は無事に入学式を終え、勉強も運動もがんばっています。
今後ともご指導ご助言のほどよろしくお願い申しあげます。
例文2)
家族のことまで気にかけてくださり厚く御礼申しあげます。
季節の変わり目ですので、体調など崩されないようどうぞご自愛ください。
また、入学祝いをいただきましたこと、重ねてお礼申しあげます。
卒業祝いでいただいた祝電のお礼:例文
例文1)
おかげさまで○○も今年、無事に大学を卒業することとなりました。
今後とも変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。
略儀ながら、書面にてお礼申しあげます。
例文2)
平素より何かとお心にかけていただき、誠にありがたく存じます。
本来ならば拝顔の上ご挨拶を申しあげるべきところ、略儀ではございますが、まずは、書中をもちましてお礼申しあげます。
まとめ
祝電を送ってくれた方には、必ずお礼のメッセージを送りましょう。会社の上司や取引先の関係者に対しては、手紙やはがきでお礼を伝えることが正しいマナーです。砕けすぎた文章や例文を書き写した文章、難しい言葉を多用した文章では感謝の気持ちが伝わりません。例文を参考にして、自分なりの言葉で感謝の気持ちを伝えましょう。それが今後の良い関係にも繋がるはずです。
監修:松本繁美(マナーアドバイザー)
1994年に研修会社エル・ステーションLTD.を設立。マナーをはじめとして各種企業研修、講演会のプロデュースを手がける。専門学校の客員講師、雑誌や新聞のマナー記事の監修、TV番組のコメンテーターとしても活躍中。冠婚葬祭、ビジネスマナーなど、今どきのマナーのデザインに定評がある。著書・監修『ビジネスマナー講座』『冠婚葬祭暮らしのマナー大百科』(日本文芸社)、『大人のマナー基本はこれだけ』(講談社)、『贈るとお返しのマナー』(主婦の友社)など多数。