結婚式に届く祝電は、新郎新婦にとって嬉しいサプライズですよね。大切な人たちから届いたお祝いの電報は、結婚式で披露してもいいのでしょうか?披露宴やパーティー会場に展示したり、祝電をたくさんいただいた場合、メッセージを省略して名前だけを紹介しても失礼には当たらないのでしょうか? そんな意外と知らない祝電のマナーを紹介します。どうぞ参考にしてみてください!
結婚式当日の準備
結婚式でいただいた祝電を披露することは、マナー違反ではありません。多くの結婚式では、披露宴の最中に「祝電披露」の時間が設けられ、司会者によって読み上げられています。
祝電は結婚式に参加できない人たちが、結婚式当日に届けてくれるお祝いのメッセージです。その場にはいなくても、披露したときの反響などを伝えると、送ってくれた人たちも喜んでくれます。
ただし、祝電は当日になるまで何通届くのかわかりません。祝電を披露する場合、詳しい段取りを決めるのは、挙式や披露宴の直前になります。新郎新婦が当日にやるべきことを見てみましょう。
披露宴の前にやるべき3つのこと
祝電は、披露宴が午前中の場合は前日に、午後の場合は挙式の1~2時間前には結婚式会場に届いているはずです。披露宴が始まるまでに新郎新婦がやるべきことは、主に次の3つです。
- 事前に届いた祝電を確認する
- 読み上げるタイミングを決める
- 読み上げる順番を決める
祝電を披露する場合、実際に読み上げるのは披露宴の司会者です。しかし、祝電の内容を確認し、披露するタイミングや読み上げる祝電の順番を決めるのは新郎新婦の役割です。以下、大切なポイントを紹介していきます。それぞれチェックして、司会者と共有しておきましょう。
祝電の確認ポイントとは?
届いた祝電は、以下の3つのポイントに留意して確認しましょう。
(1)誰が送ってくれた祝電なのか?
祝電を送ってくれた人と新郎新婦の関係がわかるのは、本人たちだけです。会社関係、友人、親族関係など、あらかじめグループ分けしておくと、披露する際に司会者も紹介しやすくなります。
(2)名前の読み方は?
祝電披露をする際、実は名前を読み間違えるケースが少なくありません。祝電を送ってくれた人に対して、読み間違えは失礼です。名前・会社名・肩書の読み方を司会者にしっかり伝えておきましょう。
(3)縁起の悪い言葉はないか?
結婚式にはふさわしくない「忌み言葉」と呼ばれる縁起の悪い言葉があります。お祝いの式を台無しにしないためにも、祝電の中に以下のような言葉がないか確認しておきましょう。
別れや終わりを連想させる言葉
別れる、終わる、切れる、離れる、戻る、出る、帰る、去る、逃げる、冷える…など
不幸や不吉なことを連想させる言葉
飽きる、落ちる、衰える、消す、捨てる、滅びる、負ける、最後、涙、病気、悪い、死、四…など
再婚や再縁を連想させる重ね言葉
しばしば、たびたび、またまた、重ね重ね、くれぐれ、繰り返し、さらに、再度…など
祝電はいつ披露するの?
お色直しの最中やスピーチ・余興の後が一般的
一般的には、新婦(または新郎も)がお色直しのために退場して出席者が歓談や食事を楽しんでいるとき、または、友人や職場の同僚によるスピーチや余興が行われた後で披露されることが多いです。以下の例を参考に、司会者や結婚式のスタッフと相談してあらかじめ決めておきましょう。
参考例:披露宴の進み方
- 新郎新婦の入場
- 開宴の辞
- 媒酌人または司会者の挨拶
- 主賓祝辞
- 乾杯
- ウェディングケーキ入刀
- お色直し
- 歓談・食事
→ 祝電披露 候補A - キャンドルサービス
- スピーチ・余興
→ 祝電披露 候補B - 花束贈呈
- 両家代表の謝辞
- 閉宴
祝電を披露する順番はどうやって決めるの?
会社関係→友人→親戚関係が多い
祝電を披露する順番に特に決まりはありませんが、「会社関係→友人→親族関係」の順番で披露されるケースが多いです。新郎関係→新婦関係と交互に読まれ、社会的身分の高い人や新郎新婦と関わりの深い人の祝電が優先して読み上げられます。以下の例を参考にしてみてください。
参考例:祝電を披露する順番
- 新郎の勤務先の社長 → 新婦の勤務先の社長
- 新郎の上司 → 新婦の上司
- 新郎の友人 → 新婦の友人
- 新郎の親戚 → 新婦の親戚
祝電はすべて披露したほうがいいの?
すべて披露するのは時間的に難しい
いただいた祝電をすべて披露するかどうか、これも特に決まりはありません。ただ、披露宴には、時間的な制約があります。祝電がたくさん届いた場合、すべて読み上げることは難しいでしょう。
「全文」と「名前だけ」に分ける
ほとんどの結婚式では、何通かの祝電は全文が読み上げられ、それ以外の祝電は送り主の名前だけを紹介することが一般的です。これは時間的な都合があるため仕方がないこと。メッセージ部分を省略したからといって失礼な行為にはなりません。
披露宴が始まる前に「全文を読み上げる祝電」と「名前だけを紹介する祝電」にあらかじめ分けて司会者に伝えておきましょう。そして、祝電を送ってくれた方々には、できるだけ早く連絡して、電報が無事に届いたことと、感謝の気持ちを伝えることを忘れないようにしましょう。
>祝電のお礼、どうしたらいい?メール、はがき、口頭で伝える祝電の基本マナー
祝電は披露宴やパーティー会場に展示してもいいの?
祝電を展示するのは送った本人にも喜ばれる
結婚式に祝電を送ってくれる人たちは、招待されたけれど、事情があって出席できない人や、招待されてはいないけれど、お祝いの気持ちをリアルタイムで伝えたい人たちです。祝電が多くの出席者の前で披露されることも、前提のうえで送ってきてくれています。披露宴やパーティー会場に展示して招待客に見せても、マナー違反ではなく、むしろ喜んでくれるはずです。
お祝いのメッセージやギフトが祝宴を華やかに
今の祝電は、可愛いぬいぐるみやプリザーブドフラワー、シャンパンやワインなどがセットになったおしゃれなギフト付き電報、ゴールドやシルバーの電報台紙など、結婚式にふさわしい華やかなものが多く、見ているだけでも幸せな気分になれます。お祝いのメッセージやギフトをウエルカムスペースや高砂などに飾って、一生の記念日を祝電で華やかに彩りましょう。
>結婚式で人気の祝電ランキング!ぬいぐるみ、プリザーブドフラワー、ハーバリウムなど
まとめ
結婚式で祝電をどのように扱ったらいいのかイメージしていただけたでしょうか?祝電を披露することも、時間によってはメッセージ全体を省略することも、決してマナー違反ではありません。お祝いのメッセージやギフトは披露宴やパーティー会場に飾って、幸せな気持ちをゲストと分かち合いましょう。
監修:松本繁美(マナーアドバイザー)
1994年に研修会社エル・ステーションLTD.を設立。マナーをはじめとして各種企業研修、講演会のプロデュースを手がける。専門学校の客員講師、雑誌や新聞のマナー記事の監修、TV番組のコメンテーターとしても活躍中。冠婚葬祭、ビジネスマナーなど、今どきのマナーのデザインに定評がある。著書・監修『ビジネスマナー講座』『冠婚葬祭暮らしのマナー大百科』(日本文芸社)、『大人のマナー基本はこれだけ』(講談社)、『贈るとお返しのマナー』(主婦の友社)など多数。